数学が本当に得意な一部の人はうまい発想と思考スピードの速さを駆使して、たとえ初見の難解な問題であっても適切な手法で答えを導き出すことができます。しかし(自分も含め)その他多くの人の思考法は、経験してきた問題を頭で検索し、類似するものに当てはめ、その手法の幾つかを適応させていくという方法をとることが圧倒的に多いのではないでしょうか。定期テストの成績はいいが、模試や実力テストでは結果がでないという人はまさに、こうゆうタイプであると思います。応用力を鍛えて、どのような問題にも対応できるスキルや数学的思考法を身に付けさせることが指導の理想ではあると思っていますが、それは知的好奇心と内発的な動機付けを元に、少しずつ時間をかけて、養っていくものであると考えています。一方で、皆さんは2次試験まであと1カ月を切り、たとえそれが付け焼刃的手法であったとしても、1点でも多く点を取りたいというのが実際のところだと思います。数学の点数を実際に上げることができる、何か分かりやすい具体的な手法があれば、それをとことんやり抜く力はみなさんにはあります。一つの同じ解法を特訓し、もしその問題が出題された時には必ず得点源としてもらいたい。そういう思いで、この冊子を作りました。

 大学の入試問題はあくまで教科書の内容から出題されていますが、その難易度は本当に様々です。教科書とほとんど同じ内容の問題もあれば、高度な計算力が要求される問題や、各分野を複合的に織り交ぜた総合力を問う問題もあります。しかし、それらに目を通していくと、同じ解法で解ける頻出の定番問題が幾つもあることに気付きます。そして、多くの受験生(特に現役生)にとって不幸な事実は、それらは教科書や問題集の基本例題として扱われておらず、具体的に訓練を積む機会がこれまでほとんどなかったという事です。基本例題として特訓さえしておけば解くことができるのに、今まで目にしたことがないために得点することができない。解法の指導を受けていれば対応できるのに、自力での勉強では他の難問に埋もれてしまい、体系的な理解ができない。この冊子はそのような問題を解決したいという思いで作っています。各セクションに3問から5問の問題を配置し、それらを解くだけで、その解法を体得できるように心掛けています。難関大学志望者は勿論のこと、2次で数学を必要とする理系のすべての生徒に解いてもらいたいと思っています。本当に頻出の問題ばかりですが、あなたが受験する大学の問題には出題されないかもしれません。ですがもし出題された時に、「ちゃんと訓練しておけばよかった」と後悔してもらいたくないのです。限られた時間ですが、できれば繰り返し解き、解法を定着してもらいたいと思っています。最後まで一緒に頑張りましょうね!

【拡張について】



本問はいわゆる「階乗の一般化」として知られるガンマ関数そのものであり、高等学校では学習しない、より高度な
数学的背景が隠されています。


階乗といえば、例えば
3!=3 ×  × 1=6 ,  5!=5 ×  ×  ×  × 1=120 など

のことですが、これは自然数にだけ定義がされていて、例えば0!や は定義されていません。

ガンマ関数はこのよ
うな0!や の値を教えてくれる「拡張された」階乗の定義であるといえます。



数学は物事を「拡張」していく学問であり、大昔は1,2,3,...といった自然数のみであった数も、今では負
の数、無理数( や円周率 p )、虚数( 2 乗して負になる )などへと拡張されています。

 


他にも小学校から中学校にかけて学習する「比例」と「
1 次関数」についても同様です。1つ 10 円のお菓子は2つ買えば 20 円で3つ買えば 30 円のように、お菓子の数個と金額 円の間に y=10x

などという関係を小学校では見いだします。


そして中学校では、「ただしお菓子を入れる袋の値段は5円です」等という条件をつけて、合計金額をy=10x+5
と計算します。これは比例から 1 次関数への拡張です。


 ではなぜ数学では物事の拡張を考えるのでしょうか?



それは拡張することで、限定的にしか成立しなかった余分な性質をそぎ落とし、より普遍的に成立する物事の本質を
理解するためにあると考えています。 y=10x という比例のグラフはいつでも原点を通るということを学びますが、実はそれは本質的なことではありません。


y=10x+5 を学べば、 原点を通るという性質は実は限定的な余分な性質にすぎなかったということが分かります。

そうすれば、「傾きの異なる
2 本の直線は必ず交点を持つ」というような、より

本質的な性質を理解することができますし、これをより拡張すれば「 次方程式は 個の解を持つ」という普遍的な代数学の基本定理になります。

 


授業ではここまで生徒には伝えませんが、このような姿勢で本問の解説をおこないたいと思います。


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